ADC12とは?成分・特性とダイカスト材質一覧

更新日: 2026-10-28

ADC12は、JIS H 5302(アルミニウム合金ダイカスト)に規定されるAl-Si-Cu系の合金で、日本で最も多く使われているアルミダイカスト材です。 湯流れがよく鋳造しやすいこと、強度・切削性・コストのバランスがよいことから、筐体、ハウジング、ブラケットなど幅広い部品に使われます。

ADC12の化学成分(JIS H 5302)

成分 範囲(%)
Cu(銅) 1.5〜3.5
Si(ケイ素) 9.6〜12.0
Mg(マグネシウム) 0.3以下
Zn(亜鉛) 1.0以下
Fe(鉄) 1.3以下
Mn(マンガン) 0.5以下
Ni(ニッケル) 0.5以下
Sn(スズ) 0.2以下
Al(アルミニウム) 残部

規格の改正で値が変わる場合があります。発注・設計では最新の規格票と材料証明書で確認してください。

ADC12の特性

項目 内容
鋳造性 良好。ケイ素が多く、湯流れがよい
機械的性質の参考値 引張強さ 約310 N/mm²、0.2%耐力 約150 N/mm²、伸び 約3.5%(別鋳込み試験片の一例)
切削性 良好
耐食性 銅を含むため、Al-Si系・Al-Mg系より劣る。屋外では塗装などで保護することが多い
アルマイト ケイ素が多く、外観は灰色がかりムラが出やすい
溶接・熱処理 一般的なダイカスト品は内部ガスの影響で不向き

機械的性質の参考値は、規格や業界資料で示される試験片の値の一例です。実際の製品の強度は、肉厚、部位、巣の状態によって異なります。

アルミダイカスト材質の比較

材質 系統 主な特徴 主な用途
ADC1 Al-Si 湯流れ・耐食性がよい。強度は低め 薄肉の複雑形状
ADC3 Al-Si-Mg 衝撃値・耐食性がよい 強度と靭性を重視する部品
ADC5 / ADC6 Al-Mg 耐食性・アルマイト外観がよい。鋳造性は低い 耐食性・外観を重視する部品
ADC10 Al-Si-Cu ADC12に近い。A380と比較されることが多い 一般部品
ADC12 Al-Si-Cu 鋳造性・強度・コストのバランス 一般部品全般
ADC14 Al-Si-Cu-Mg 耐摩耗性 摺動部品 など

海外規格との対応(目安)

JIS 近いとされる海外材質 補足
ADC12 A383(ASTM)、EN AC-46100 など A380と比較されることも多い
ADC10 A380(ASTM)、EN AC-46500 など
ADC3 A360
ZDC2(亜鉛) Zamak 3 亜鉛ダイカスト
ZDC1(亜鉛) Zamak 5 亜鉛ダイカスト

対応はあくまで「近い」とされる目安です。成分範囲と試験方法は規格ごとに異なるため、海外図面の材質指定を国内規格の材料で置き換える場合は、設計側の承認が必要です。中国ではADC12相当材が「YL113」と表記されることもあり、調達時は規格名と材料証明書の記載をそろえて確認します。

よくある質問

ADC12とA380は同じですか?

同じではありません。どちらもAl-Si-Cu系のダイカスト合金でよく比較されますが、ケイ素や銅の範囲が異なります。成分としてはADC12はA383、ADC10はA380に近いとされます。

ADC12にアルマイトはできますか?

処理は可能ですが、ケイ素が多いため灰色がかった外観になりやすく、色ムラも出やすい材料です。外観が重要な場合は塗装を検討するか、材質を含めてご相談ください。

ADC12の比重はどのくらいですか?

約2.7前後です。正確な値は材料メーカーの資料でご確認ください。