ADC12とは?成分・特性とダイカスト材質一覧
ADC12は、JIS H 5302(アルミニウム合金ダイカスト)に規定されるAl-Si-Cu系の合金で、日本で最も多く使われているアルミダイカスト材です。 湯流れがよく鋳造しやすいこと、強度・切削性・コストのバランスがよいことから、筐体、ハウジング、ブラケットなど幅広い部品に使われます。
ADC12の化学成分(JIS H 5302)
| 成分 | 範囲(%) |
|---|---|
| Cu(銅) | 1.5〜3.5 |
| Si(ケイ素) | 9.6〜12.0 |
| Mg(マグネシウム) | 0.3以下 |
| Zn(亜鉛) | 1.0以下 |
| Fe(鉄) | 1.3以下 |
| Mn(マンガン) | 0.5以下 |
| Ni(ニッケル) | 0.5以下 |
| Sn(スズ) | 0.2以下 |
| Al(アルミニウム) | 残部 |
規格の改正で値が変わる場合があります。発注・設計では最新の規格票と材料証明書で確認してください。
ADC12の特性
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 鋳造性 | 良好。ケイ素が多く、湯流れがよい |
| 機械的性質の参考値 | 引張強さ 約310 N/mm²、0.2%耐力 約150 N/mm²、伸び 約3.5%(別鋳込み試験片の一例) |
| 切削性 | 良好 |
| 耐食性 | 銅を含むため、Al-Si系・Al-Mg系より劣る。屋外では塗装などで保護することが多い |
| アルマイト | ケイ素が多く、外観は灰色がかりムラが出やすい |
| 溶接・熱処理 | 一般的なダイカスト品は内部ガスの影響で不向き |
機械的性質の参考値は、規格や業界資料で示される試験片の値の一例です。実際の製品の強度は、肉厚、部位、巣の状態によって異なります。
アルミダイカスト材質の比較
| 材質 | 系統 | 主な特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| ADC1 | Al-Si | 湯流れ・耐食性がよい。強度は低め | 薄肉の複雑形状 |
| ADC3 | Al-Si-Mg | 衝撃値・耐食性がよい | 強度と靭性を重視する部品 |
| ADC5 / ADC6 | Al-Mg | 耐食性・アルマイト外観がよい。鋳造性は低い | 耐食性・外観を重視する部品 |
| ADC10 | Al-Si-Cu | ADC12に近い。A380と比較されることが多い | 一般部品 |
| ADC12 | Al-Si-Cu | 鋳造性・強度・コストのバランス | 一般部品全般 |
| ADC14 | Al-Si-Cu-Mg | 耐摩耗性 | 摺動部品 など |
海外規格との対応(目安)
| JIS | 近いとされる海外材質 | 補足 |
|---|---|---|
| ADC12 | A383(ASTM)、EN AC-46100 など | A380と比較されることも多い |
| ADC10 | A380(ASTM)、EN AC-46500 など | |
| ADC3 | A360 | |
| ZDC2(亜鉛) | Zamak 3 | 亜鉛ダイカスト |
| ZDC1(亜鉛) | Zamak 5 | 亜鉛ダイカスト |
対応はあくまで「近い」とされる目安です。成分範囲と試験方法は規格ごとに異なるため、海外図面の材質指定を国内規格の材料で置き換える場合は、設計側の承認が必要です。中国ではADC12相当材が「YL113」と表記されることもあり、調達時は規格名と材料証明書の記載をそろえて確認します。
よくある質問
ADC12とA380は同じですか?
同じではありません。どちらもAl-Si-Cu系のダイカスト合金でよく比較されますが、ケイ素や銅の範囲が異なります。成分としてはADC12はA383、ADC10はA380に近いとされます。
ADC12にアルマイトはできますか?
処理は可能ですが、ケイ素が多いため灰色がかった外観になりやすく、色ムラも出やすい材料です。外観が重要な場合は塗装を検討するか、材質を含めてご相談ください。
ADC12の比重はどのくらいですか?
約2.7前後です。正確な値は材料メーカーの資料でご確認ください。